LSスペシャルインタビュー

初代を超える衝撃 取材・公開日 / 2018.01

旭利夫
Lexus International
製品企画チーフエンジニア

世界トップを目指した先進安全技術

「交通事故死傷者ゼロ」を旗印に、世界トップを目指したのが先進安全技術だ。新型LSに初採用された「Lexus Safety System + A」は、GSなどが採用している先進安全パッケージ「Lexus Safety System +」をさらに高機能化したもの。世界初を含む新機能がいくつか盛り込まれている。
「そのひとつが歩行者との衝突を自動操舵で回避する機能です。ミリ波レーダーとステレオカメラの2種類のセンサーで前方の状況をモニタリングし、歩行者と衝突する可能性を検知すると、まず大型カラーヘッドアップディスプレイに歩行者がいることをアニメーションなどで表示して、ドライバーに注意を促します。もしドライバーが回避操作を行わないと、自動ブレーキが作動。それでも衝突を避けられないと判断すると周囲の状況に応じてステアリングを制御し、衝突回避あるいは衝突被害を軽減します」

未来の自動運転につながる高度運転支援技術「Lexus Co Drive」も特筆に値する。全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールに車線維持機能と方向指示レバー操作による自動レーンチェンジを組み合わせたもので、ポイントはナビゲーションシステムの地図データから得たカーブの曲率情報をもとにした速度制御機能も備わっていることだ。通常のレーダークルーズコントロールは、先行車がいないと設定速度まで自動的に加速するため、カーブに進入する際にヒヤッとするケースが少なくない。その点、新型LSならカーブの曲率に合わせて適切な速度まで自動的に減速する。レーンのトレース性もまるで熟練ドライバーの隣に乗っているかのようなスムーズさだという。

また、世界最大24インチの大型カラーヘッドアップディスプレイによる注意喚起や情報表示は、分かりやすさだけでなく、未来感覚という点でも新しい魅力になっている。
「我々が目指したのは、あらゆる運転シーンにおいて、人に寄り添い、世界で最も安全、安心、快適なドライビングを提供する"ベストパートナー"となるクルマづくりです。ドライバーへの通知や支援の挙動のひとつひとつに至るまで丁寧にサポートし、まるで人とクルマが対話をするかのように協調して安全、安心、快適に走れる。レクサスならではの人を中心とした先進安全技術にこだわりました」

※ 安全装置はドライバーの安全運転を支援するためのものです。機能を過信せず、安全運転を心がけてください。

心に響くエモーショナルな走り

旭氏がたびたび強調する言葉が「二律双生」だ。矛盾するような2つの性質を、発想の転換や新技術によって調和させ、新しい魅力を生み出す。前述したクーペ調のパッケージングは、その思想から生まれたものだが、走りにも反映されている。新型LSに搭載されるパワーユニットは3.5リッターV6マルチステージハイブリッドまたは新開発の3.5リッターV6ツインターボエンジン。いずれも静粛性や快適性、環境性能といった「静」の要素を大切にしながら、ドライバーが"その気"になれば心に響くダイナミックな走りを披露、つまり「動」の要素が鮮明になる。
 「走りの感動を世界に示すこともレクサスのフラッグシップの使命だと考えています。私自身、走りが好き、運転が好き。LSのDNAである優れた快適性や静粛性といった“高級サルーンとしてのくつろぎの空間”を継承しながらも、こだわったのは心に響くエモーショナルな走り。つまりドライバーズカーとしての走りの気持ち良さです。そのためプラットフォームもパワーユニットもすべて刷新し、徹底して徹底して走りの感性を磨きました。新型LSに一度乗っていただければ、私たちが意図したところをご理解いただけると思います」

最後に

「お客様が走りを楽しみたい時も、くつろぎたい時も、どのような瞬間も、感性を刺激し、お客様に寄り添うベストパートナーでありたい。そんな開発陣の熱い想いと、レクサスが持つ先進技術のすべてをこめたのが新型LSです。ぜひ一度皆様に体感して頂ければと思います」と、旭氏はそう締めくくった。

COLUMN

ボディは大きくなっても、
運転すると小さく感じる

新型は先代と比べて全長、全幅、ホイールベースが拡大された。しかし「運転してみると、逆にひとまわり小さく感じられるはずです」(旭氏)。実際、取り回し性の目安となる最小回転半径(2WDの場合)は5.6mと先代より0.1m小さくなっている。また、視界のよさに加えて、車両周辺を分かりやすく表示するパノラミックビューモニターによる視界支援や、慣性諸元やボデー剛性の向上によるクルマとの一体感の追求により、運転のしやすさにも拘ったという。こうしたクルマとの一体感に加えて、よりダイナミックな走りを楽しめるスポーティバージョンの"F SPORT"も用意している。

ツインターボエンジンの10速ATは
世界最速レベルの変速を実現

LS500に搭載されるパワーユニットはレクサス初となる3.5リッターV6ツインターボエンジン。ロングストローク化などによる高速燃焼技術を採用するなど、独創的な先進技術の数々を惜しみなく投入している。「わずか1600回転から最大トルクが発生します。どんな走行シーンでも力強い加速を体感できます」(旭氏)。しかもこのエンジンに組み合わせられる10速ATは「変速スピードが世界最速レベルです。ドライバーの意図を読み取って最適なギアを選択する制御と相まって、Dレンジのままでも気持ちの良い走りを楽しむことができます」(旭氏)。

※このインタビュー記事は、本サイト独自取材のもので、開発責任者インタビューシリーズ、バックナンバーです。
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