NXスペシャルインタビュー

次世代レクサスの
幕開け第1弾 取材・公開日 / 2021.12

加藤 武明
Lexus International
チーフエンジニア

多様化するお客様のニーズやライフスタイルに寄り添うクルマづくり

NX350h“F SPORT”。ボディカラーのヒートブルーコントラストレイヤリング〈8X1〉はメーカーオプション。オプション装着車。

2014年の誕生以来、世界90以上の国と地域で累計約105万台(2021年8月時点)を販売し、RXとともにレクサスのグローバルコアモデルへと成長したNX。初めて全面刷新を受けた新型は、次世代レクサスの第1弾という使命を担って登場した。従来型(初代)に続き、新型の開発を指揮したレクサスインターナショナルのチーフエンジニア加藤武明氏はこう振り返る。

「初代NXの企画開発が始まったのが2009年。まだNXという車名すら決まっていなかった当時と、新型の企画開発が始まった頃とでは自動車を取り巻く環境が大きく変わりました。最たるのが電動化です。カーボンニュートラルに向けた電動化が世界的に加速する中で、新型は、そうした社会的使命を果たしながら、多様化するお客様のニーズやライフスタイルに寄り添うクルマづくりを目指すというレクサスの強い意思のもとで開発しました」

NX450h+“version L”。ボディカラーはソニッククォーツ〈085〉。オプション装着車。

“初代のフルモデルチェンジ”という表現では足りないほどにスケール感のある大進化を果たした新型。2019年に発表した電動化ビジョン「Lexus Electrified」に基づき、レクサス初のPHEV(プラグインハイブリッド車)を導入した。
「Lexus Electrifiedは、単に電動化を進めるのでなく、普及させるために車両の基本に立ち返って素性の良いクルマをつくり、電動車の強味である駆動力を活かした走りの楽しさ、喜びを一段と向上されることが大切だと考えています。これまでも、すっきりとした操舵や、接地感のある楽しい走りを追求してきましたが、電動化技術を進化させれば、もっと深く追求できます。そのために新型は、体幹を徹底的に鍛えあげ、駆動力を活かした走りにも注力しました。電動車に限らず、新開発の2.4LターボにAWDを組み合わせたのもその一環です。駆動力をしっかりコントロールすることで、あらゆる走行シーンで、レクサスならではの走りを楽しむことができます」
新型NXのパワートレーンはPHEVをはじめ6種類。選択肢を多くしたことは、レクサスの目指す多様なお客様のライフスタイルに寄り添うということの表れである。

電子制御フルタイムAWD

人間中心の考え方、感性に寄り添った先進技術でさり気なくサポート

人間中心の考え方に基づいた先進機能の数々も見逃せない。
「交通事故死傷者ゼロの実現に向けて、アップデートした最新のLexus Safety System+は、機能の拡充に加えて、ドライバーの感性に寄り添うよう、制御をよりきめ細やかに見直しました。前方のカーブを検知する性能を向上するなどして、さり気なく安全運転をサポートするようになっています」
ドア内部の開閉機構を機械式から電子式にしたe-ラッチからも人間中心の考え方を感じ取ることができる。例えば車内からドアを開ける際、従来はドアハンドルを手前に引きながらという動作が必要だが、新型はドアハンドルを軽く押すだけでいい。
「ふすまを開けるようなイメージです。動作に無駄がなく、滑らか。その操作感に新しさ、ちょっとした心地良さを感じていただけるかと思います。さらにブラインドスポットモニターと連動させることで、停車中のドア開き事故を防止できるようにしました」

インテリアカラーはブラック&リッチクリーム。
e-ラッチシステム

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